この記事では、タスク管理ソフトRedmineをWindows環境に準備する手順についてまとめています。
今回はVirtualBoxを使用した仮想環境を準備するため、用途としては個人向けの構築方法であることにご注意ください。
また、メールアドレスの送受信機能は不使用とし、関連する設定については省略しています。
Redmine環境の構築手順
まずはRedmineを使用するための環境を構築します。構築の方法には様々なものがありますが、この記事ではVirtualBoxとBitnamiのRedmineパッケージを使用した方法を使用します。
※今回使用するのは個人利用向けの簡易的な構築方法になります。他の環境構築方法は以下公式ドキュメントをご参照ください。
Step1. VirtualBoxのインストール
まずは仮想環境構築用ソフト「VirtualBox」を準備します。
ダウンロードページを開き、Download VirtualBox > VirtualBox X.X.XX platform packages から、
仕様OS用のインストーラーをダウンロードします。(今回はWindows hostsを選択)
ダウンロードしたインストーラーを起動し、表示に従ってインストールを進行します。
(基本的に複雑な設定等はなく、画面の通り進んでいけばOKです)
インストール完了後、VirtualBoxが起動し、以下のようなウィンドウが出ていれば導入は完了です。
Step2. Redmine環境パッケージのダウンロード
VirtualBoxの準備が完了したら、BitnamiのRedmine(Virtual Machines)ダウンロードページから、VirtualBoxへインポートするためのOVAファイルをダウンロードします。(ダウンロードボタンはページ下部にあります)
以下のようなファイルがダウンロードできていれば準備は完了です。
Step3. VirtualBoxへRedmine環境をインポートする
VirtualBoxのトップ画面にある「インポート」をクリックします。
インポートファイルの選択画面が表示されるため、Step2.でダウンロードしたRedmine環境(Bitnamiパッケージ)を指定して「次へ」をクリックします。
インポートの設定画面とソフトウェア使用許諾契約の同意画面が表示されるため、内容を確認して進行します。(設定は基本的にはデフォルトで問題ありません)
仮想環境の一覧に以下のようなものが表示されていることを確認できたら、インポートは完了です。
Step4. ネットワーク設定と初回起動
VirtualBox上のRedmineへはWindowsブラウザからアクセスするため、環境を起動する前にネットワーク設定を編集しておく必要があります。
インポートしたRedmine環境を選択し、「設定」ボタンをクリックします。
展開した設定ウィンドウで、ネットワーク>アダプター1>割り当て から、
「ホストオンリーアダプター」を選択し、「OK」をクリックします。
ネットワーク設定完了後、起動ボタンからRedmine環境を起動します
初回起動時は様々な処理が流れていきますが、最終的に以下のようなログイン画面になるまで待ちます。
ここで、「The default username is~」の行に、Redmineのユーザ名/パスワードが表示されているため、メモしておきましょう。
Redmineのログイン情報を控えたら、仮想環境へログインします。
初期ユーザ名/パスワードは、「bitnami/bitnami」です。
※パスワード入力時は表示が出ませんが、入力自体は行われています
初回ログイン時はパスワードの再設定処理が行われるため、任意のパスワードを設定します。
パスワードの再設定完了後、
「sudo systemctl status networking.service」
というコマンドを入力し、Redmineアクセス用のアドレス情報を表示します。
表示されたアドレスを任意のブラウザで入力すると、Redmineのホームページが表示されます。
右上にある「ログイン」リンクをクリックし、仮想環境起動時に控えておいたRedmine用のID/パスワードを入力することでログインができます。
※もしRedmineようログイン情報を紛失してしまった場合は、仮想マシンを一度シャットダウンして再起動すれば再度表示されます
お疲れさまでした。以上でRedmine環境の構築作業は完了となります。
以降は仮想マシンを起動状態にすれば同様のアドレスでRedmineへアクセスが可能です。
プロジェクト開始前の準備(初期設定)
ここからはRedmine を実際のプロジェクトで使用していくための初期設定方法についてまとめています。(プロジェクトによって最適な設定は様々あるかと思いますので、あくまで基本的な設定の一例として設定の一助にしていただけますと幸いです)
デフォルト言語の設定
管理 > 設定 > 表示タブ > デフォルトの言語 から、デフォルト言語の設定が可能です。
新規ユーザーの追加
ログイン後、上部メニューから、管理 >ユーザー と進むと、ユーザーの一覧が表示できます。
デフォルトでは「user」という管理者アカウントのみが存在しています。
画面右上の「新しいユーザー」をクリックすることで新規ユーザーを追加できます。
「*」項目は必須となりますが、メールアドレスは一旦ダミーの適当なアドレス※を入力してOKです
※XXXX@example.com など
項目を設定後、ページ下部の「追加」で、ユーザーが追加されていることを確認できます。
※ユーザー一覧画面からユーザ名をクリックすることで各種設定を変更する画面へ遷移できます。
ステータス(チケットの状態)の設定
Redmine におけるステータスとはチケットの状態を表現するものです。
管理メニューから「チケットのステータス」をクリックすると管理画面が開きます。
ステータスの管理画面では、既存ステータスの確認/編集と新規ステータスの追加ができます。
作業完了後のステータスには「終了したチケット」にチェックを入れます。
ステータス編集:ステータス名をクリック
新規追加:「新しいステータス」をクリック
この記事での環境構築ではおそらく英語名称になっているかと思いますので、参考に各ステータスを日本語へ変換し、説明を追加したものを以下に載せておきます。
注意:新規ステータスを実際に使用するには後述の「ワークフロー設定」が必須になります。
そのステータスのチケットは作業が終了した状態を表すものとして扱われ、
・チケットの一覧を表示する画面で「完了」に分類される
・「ロードマップ」画面で「完了」として集計対象となる
といった処理が行われます
ここでは説明を割愛しますが、以下手順でチケットの進捗率をチケットステータスと連動させることもできます。(ただし進捗率の手入力はできなくなります)
ステータスの設定や活用方法によってはこちらの設定も有効かもしれません。
トラッカーの設定
トラッカーは、チケットの形式を設定するためのもので、入力項目や使用するステータスの定義を行います。
管理メニューから「トラッカー」をクリックすると管理画面が開きます。
新規トラッカーの追加時や既存トラッカーの編集時は画像のような画面で各項目を入力します。
項目 | 説明 |
---|---|
デフォルトステータス | チケット作成時の初期ステータス |
ロードマップに表示 | ロードマップ画面(バージョンごとの関連チケット欄)での表示有無 |
標準フィールド | チケットで使用する項目の設定 |
ワークフローをここからコピー | ワークフローを指定した既存トラッカーの設定からコピーする |
注意:新規トラッカーを実際に使用するには、ワークフロー設定を既存の者からコピーした場合を除き、後述の「ワークフロー設定」が必須になります。
ロールの設定
ロールはユーザーに設定する「役割」にあたる機能で、役割の名称とともに各種権限の設定を行います。
管理メニューから、「ロールと権限」をクリックすると設定画面が開きます。
管理画面右上の「新しいロール」から新規ロールを追加できます。
各項目(以下画像参照)でロールの権限を設定し、作成をクリックします。
また、ロール設定画面の「権限レポート」では、各種権限と既存ロールを一覧で表示しながら設定が可能です。(各ロールの権限背を比較しながら調整する際に便利です)
ワークフロー設定
ワークフローはチケットを作成してから完了するまでの流れを設定するものです。
管理メニューから「ワークフロー」をクリックすると設定画面が開きます。
ワークフローを編集するときは、「ロール」、「トラッカー」をプルダウンから選択し、「編集」ボタンをクリックします。
ステータス遷移の設定
ステータス遷移は、「指定ロールの人が指定トラッカーのチケットにて、変更(遷移)操作を行えるステータス」を設定します。
ここでは、「バグ」トラッカーのチケットに対する「開発者」と「報告者」の設定例で説明します。
以下は、「開発者」ロールの人が「Bug」トラッカーを扱う際のステータス遷移設定の例です。
開発者のため、基本的なステータス遷移は自由ですが、管理者のみが実施するような、
終了/却下ステータスからの遷移や、却下ステータスへの遷移以外は制限されています。
以下は「報告者」ロールの人の「Bug」トラッカーステータス遷移設定です。
ここではバグ報告者の意図での設定のため、チケットのクローズを示す「終了」ステータスと、
「差し戻し」(バグの修正NGや、機能チェック時のバグ発見等)への遷移のみが許可されています。
フィールドに対する権限
フィールドに対する権限は、「指定ロールの人が指定トラッカーのチケットで変更可能/必須となる項目」を設定します。
以下は開発者がバグトラッカーチケットを扱う際の設定例です。
・進行中~終了で担当者が必須(担当が変わった際の変更忘れ防止)
・新規ステータス以外での開始日、期日/予定工数を読み取り専用(管理者以外で変更を制限)
といった形で設定しています。
プロジェクトの作成
ここまでの事前準備(Redmine共用の設定)が完了したら、実際にタスク管理を行う単位でプロジェクトを作成します。
新規プロジェクトの作成
管理メニューから「プロジェクト」をクリックすると、プロジェクトの管理画面が開きます。
管理画面右上の「新しいプロジェクト」から新規プロジェクトを作成できます。
基本的に難しい内容はありませんが、以下2点には注意の上、各項目を入力していきます。
・「識別子」は変更不可で、URLの一部などに使用される
・「公開」設定が有効な場合、プロジェクトに登録されていないRedmineメンバーも情報閲覧が可能
管理画面の一覧にプロジェクトが追加され、プロジェクト作成は完了です。
プロジェクトにメンバーを追加する
プロジェクトを作成が完了後、プロジェクトにメンバー追加を行います。
管理画面からプロジェクト名をクリックすると、プロジェクトのトップ画面が開きます
上部タブ「設定」>「メンバー」を開き、「新しいメンバー」をクリックします
ユーザーの追加ウィンドウが表示されるため、追加するユーザーとそのロールを設定し、「追加」ボタンをクリックします。
追加が完了すると、メンバーの名前とロールが一覧で確認できます。
おわりに
以上がRedmine環境構築からプロジェクト準備までの流れになります。
この記事の内容は以下Redmine.JPのドキュメントを基にまとめたものになります。
構築以降の機能解説やより詳細な情報を得る際には非常に参考となりますので、併せてご確認いただけますと幸いです。
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